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全長40メートルの巻物、横山大観の「生々流転」(重要文化財)が
東京国立近代美術館で特別公開されています。


巻物は、湿った大気から一滴の水が生まれる
というところから始まります。

一滴一滴の水が集まっていき、小さな流れがつくられていきます。

その小さな流れは、じょじょに、じょじょに大河へと姿を変えていき、
やがて海へと流れ込みます。

大海原には雲が立ちこめ、そのなかを、天に向かって一匹の龍が昇っていきます。

そして、雲は、再び一滴の雫に姿を変えて、新たな一生が始まります。


「生々流転」は、横山大観の人生観を表現しているといわれる作品です。

画面の一番最初のところ、巻物の端に立って向こうを見てみたら、
40メートル先はよく見えないくらい、実に長い長いアート作品です。

巻物ならではの場面転換の醍醐味があり、何度見てもワクワクします。

墨一色で描かれた作品の全体から、「水」を表現した絵ならではの「湿度」が感じられ、
その「流れ」を目で追っていくと、
あたかも大自然の中に放り込まれたかのような感じすらおぼえます。

巻物のラスト、クライマックス(龍が現れる)の手前あたりに描かれたうずまく雲が感じさせる
独特の緊張感がたまりません。

ちょうど一本の映画を観たのと同じような感動が味わえます。

圧巻!としかいいようがない、すばらしい作品です。

一挙に40メートルをじっくりと観ることができるチャンスは、めったにありません。
大変に貴重な機会です。あなたもぜひぜひ。